kutakake186

<2025年11月1日発行 「くたかけ」186号・秋冬号> TMG(戸田中央メディカルケアグループ)が発行している広報誌「くたかけ」。 TMGの経営方針、行事、各施設の動向、職員に関連するニュースなどを伝える媒体です。


>> P.4

戸田中央総合病院は2025年4月、埼玉県南部医療圏で初となる「がんゲノム医療※連携病院」に指定され、「がんゲノム外来」を新設しました。地域での体制整備に向け、同院では各診療科の医師や看護部、薬剤科、病理・検査部門、医事課などが参加するワーキンググループを立ち上げ、診療と運用の仕組みづくりを進めてきました。その成果として誕生したのが、がんゲノム医療に欠かせないC-CAT(がんゲノム情報管理センター)への情報入力を電子カルテ内で行える独自の診療情報管理システムです。このシステムは立花慎吾副院長を中心に、多職種スタッフが協働し、同院「がんゲノム外来」を担当する東京医科大学病院遺伝子診療センター長・稲垣夏子先生の助言を得ながら構築されました。今回は、そのシステムの特徴と地域医療への貢献について、立花慎吾副院長と稲垣夏子先生に伺いました。撮影:松村健人――がんゲノム外来」を開設した想いをお聞かせください稲垣…当院が位置する埼玉県南部医療圏には、これまで「がんゲノムプロファイリング検査」を実施できる病院がありませんでした。地域の患者さまが都内まで通わずに最先端のがんゲノム医療を受けられるようにしたい、その想いから「がんゲノム外来」を立ち上げました。立花…実際に、がんゲノム医療を希望される患者さまの多くが大学病院まで通院されていました。地域の方々により身近な場所で同等の医療を提供したいという気持ちが強くありました。――貴院ならではの特徴をお教えください。稲垣…最大の特徴は、がんゲノム医療に欠かせない、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)への臨床情報入力を電子カルテ内で行えるようにした点です。通常、連携病院ではC-CAT入力専用の端末が限られており、主治医はその端末が設置されている場所まで出向かなければなりません。台数制限やパスワードの共有の制約もあり、入力作業が大きな負担となっていました。当院では電子カルテの中にC-CAT入力画面を組み込み、主治医が自身の診療ブースで直接入力できるようにしました。これにより業務効率が大幅に改善しました。立花…もう一つの大きな利点は、院内でデータを蓄積・活用できるようになったことです。従来は専用端末で入力した情報がC-CATに送信されるだけでしたが、今は電子カルテ内で入力した内容を院内データとして保存できます。これにより、地域特有のがん患者さまの傾向を把握し、地域医療の質向上にもつなげられるようになりました。――システムの利点を、もう少し詳しく教えて下さい。稲垣…同システムの画期的な点は主に3つあります。1.全スタッフで情報共有できるところがんゲノム検査は、「がん遺伝子パネル検査」から「エキスパートパネル(治療方針の検討・提示)」まで、約2か月を要します。当システムでは、この2か月間の検査・解析プロセスを電子カルテ内で一元管理することができ、検査の進捗状況をすべての職員が同じ画面唯一無二のシステム構築最新医療※がんゲノム医療とは、がんの原因となる遺伝子の変化(遺伝子変異)を調べることで、一人ひとりの体質や症状に合わせて診療・治療などを行う医療のこと。検査は採取したがん細胞や血液から数十~数百の遺伝子情報を同時に解析する「がん遺伝子パネル検査」を実施。結果をもとに腫瘍内科医や遺伝の専門医らでつくる「エキスパートパネル(専門家会議)」で議論し治療法を検討、最終的な治療方針は主治医が患者さまと相談して決定する。「がんゲノム医療」に特化した診療情報管理システム戸田中央総合病院外科副院長立花慎吾たちばなしんご戸田中央総合病院消化器内科副院長堀部俊哉ほりべとしや戸田中央総合病院がんゲノム医療外来東京医科大学病院遺伝子診療センターセンター長稲垣夏子いながきなつこ戸田中央総合病院「がんゲノム医療」02


<< | < | > | >>