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――このシステムはどのようにして生まれたのでしょうか。稲垣…がん医療に携わる多職種が集まり、「現場が本当に使いやすい仕組みをつくろう」という想いで意見を出し合い、院内で開発したものです。特別な外部システムではなく、電子カルテの拡張機能を活用して構築した点も特徴です。立花…中核拠点病院並みの運用を、連携病院として自力で実現できたことは大きな成果だと感じています。――来年からは院外からの患者さまの受け入れを開始すると伺いました。今後の展望をお聞かせください。立花…今後はさらに入力項目の改良やデータ分析機能の強化を進め、院外の患者さまにもスムーズに検査をご提供できる体制を整えていきます。地域の皆さまに「がんゲノム医療」を理解してもらうための市民講座なども企画中です。稲垣…「がんゲノム医療」は特別なものではなく、標準医療の一部として定着しつつあります。当院では、日常診療で使用する電子カルテを中心に据えたこの仕組みを通じて、地域に根ざした質の高い医療を実現していきたいと思います。で確認できます。主治医だけでなく、がん治療に関わるすべてのスタッフが、「今どの段階にあり、次に何をすべきか」を把握できます。これにより、検査の遅延や情報の行き違いを防ぎ、検査開始から治療方針決定までの流れがスムーズになりました。2.電子カルテ内にて運用できるところC-CATへの臨床情報入力項目は分岐質問が多く、入力漏れが起こりやすい構造です。当システムでは電子カルテの「スマートテンプレート」機能を用いて、必要な質問のみを順次表示し、必須項目を全て入力すると登録が完了する仕組みを採用しました。これにより入力漏れを防止しています。さらに、全データを電子カルテ内で管理できるため、情報の抽出や統計処理が容易となり、学会発表などの二次利用も可能です。また、コスト算定漏れの抑制にもつながりました。3.担当者の負担が軽減されるところすべての業務が電子カルテ内で完結しているため、どの職種でも必要な情報を即座に確認・入力できます。専任者でなくても対応できる体制が整い、担当者一人ひとりの業務負担が大幅に軽減されました。埼玉県戸田市本町1-19-3TEL:0570-01-1114(代表)https://www.chuobyoin.or.jp/HOSPITALDATA戸田中央総合病院TMGMEDICALNEWS「がんゲノム外来」診察と検査の流れかかりつけ外来効果が期待できる薬がある場合は、保険診療や臨床試験の選択肢も含め、主治医が患者さまと相談しながら治療方針を決定します。「がんゲノム医療」は、原因となる遺伝子変異を特定し有効な治療薬を探ります。これにより治療の選択肢が広がります。(検査結果をもとに主治医のほか、がん薬物療法、遺伝医学、遺伝カウンセリング、病理学等を専門とする医師や専門家が議論・検討し治療方針を提示)(組織検体または血液検体で324のがん関連遺伝子を一括解析)かかりつけ外来「がんゲノム外来」受診各診療科の主治医より「がんゲノム医療」の対象かどうかを判定同意書・出検がん遺伝子パネル検査実施エキスパートパネル実施[検査結果説明]●●●1〜2か月程度コラムCOLUMN03