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状態をリアルタイムで確認・修正できます。端的に申しますと、前者は術前計画を忠実に再現する役割にとどまるのに対し、後者は術中の柔軟な調整が可能なのです。――医師の負担が軽減する役割は大きいですね。その通りです。CTナビゲーションの場合、医師は術前プランニングに非常に時間を要します。一方、Makoの場合は業者が大まかなプランニングを行い、術者が細部の確認と調整を行います。また、難しい症例でも単純化することが可能となり、手術に参加する医師の人員も削減できます。私は人工関節領域において、Makoはひとつの完成形であると考えます。――他に医師へのメリットはありますか?新人医師の教育的ツールとしてMakoは非常に有効です。確かに、新人が初めからロボットに携わると、環境が整っていない施設での手術が出来なくなるのではないか……といった危惧はあります。ただ、制御がきかない難しい手術よりも、計画通り正確に制御できる手術を多く重ねた方がストレスも掛からず大きな学びになると考えます。また、Makoは人工股関節置換術(THA)と人工膝関節置換術(TKA)の両方に対応しますので、運営する病院側のメリットになることはもちろん、どちらの手術も対応可能な医師のキャリアアップにもつながります。――今後、Makoは日本の人工関節領域においてどうなっていくとお考えですか?近い将来、スタンダードになっていくと考えます。Mako自体、高価なものではありますが、現在、多くの専門的な大学病院で導入が進んでいます。また、股関節に関しては、欧米では加齢とともに悪化する患者が多く比較的単純な手術で済む場合が多いのですが、日本人は特殊な形態が多いため難しい症例の比率が高い。ですので、海外よりも日本でこそ流行る意味がありますし、今後も人工関節のロボット市場は急速に拡大していくと考えます。――今後のビジョンをお聞かせください。Mako導入によって私が一番実感しているのは医師の負担が軽減したことです。その分、医師は患者さまと向き合う時間を増やすことができます。また、先述した通り、Makoは教育ツールとして優れていますので、技術は代々つながります。医師も患者さまもハッピーになること、それが社会全体でいうサスティナビリティにつながるのではないでしょうか。また、日本人の平均寿命は延伸していますが、元気に自立して過ごせる「健康寿命」との間には約10年の差があります。その主な原因のひとつが整形外科疾患です。関節の痛みに悩む方々に「再び動く喜び」を取り戻してもらいたい。当院ではロボティック技術と専門チームでこれまで以上に安心して受けられる人工関節手術の提供を進めてまいります。神奈川県横浜市泉区和泉中央北1丁目40-34TEL:045-800-0320https://www.tkr-hospital.com/HOSPITALDATA戸塚共立いずみ野病院人工関節センター09